300年近く続いた鎖国の眠りから醒めた日本は、急速に欧米の文化を吸収していく必要に迫られました。
鎖国時代、浮世絵という美術的には優れた印刷物がありましたが、言論出版活動としてはキリスト経など舶来禁書、時事批評、好色本をはじめとする出版への厳しい規制のなかで、衰退を余儀なくされていました。
開国後、民間で初めて和文の活字鋳造を行ったのは、長崎の通詞本木昌造で、その長崎新町活版製造所で完成した和文号数活字によって、1870年(明治3年)創刊の「横浜毎日新聞」が印刷されています。 |
|
| ■電波メディアの出現 |
長い間にわたって情報メディアの王座であった印刷の地位をおびやかすような出来事が起こりました。
電波という新しいメディアの出現です。
1837年アメリカのモールスが電磁石を利用した電信機を発明し、1844年にはワシントンと約60キロメートル離れたボルチモアとの間で交信が行われました。
その後1876年電話、1895年無線電信、1920年ラジオ放送の発明と続くのですが、こうした電波メディアが出現したことにより、人類は遠く離れた者同士でも瞬時に情報が伝達できる手段を手にしました。
しかしこの段階の電波メディアは、耳で聞くだけであって、印刷のもつ正確な記録性や視覚に訴える豊富な情報内容には遠く及ばないものでした。
ところが1931年テレビ放送が出現することによって、電波は音声とともに視覚にも訴えられる強力なメディアとなったのです。
テレビ画面から刻々と目や耳に飛び込んでくるフレッシュな情報は、現在世界中の人々を釘付けにして、若者たちの文字離れが確実に進行しています。 |
|
| ■コンピュータの出現 |
電波メディアにとってさらに強い力となるのは、コンピュータは名前のとおり、最初は第2次世界大戦中に作戦のための膨大な数値計算を速くするための機械として考えられたのですが、その威力は計算だけにとどまらず、人間の脳の一部を代替し、しかも瞬時に膨大なデータの処理をするというすばらしい機能をもっています。
1969年アメリカのアポロ11号が史上初の月面着陸をなしとげ、その模様がテレビ画面をとおして地球の私たちに伝えられました。このような人類の長年の夢がかなえられた陰には、NASA(アメリカ航空宇宙局)に設置された約600台の大型コンピュータと、アポロに積み込まれたスーツケース大のコンピュータが、正確に働き続けたからです。
21世紀は高度情報化社会といわれ、現在私たちのまわりには、大小さまざまなコンピュータが働いています。
ことば、文字、印刷、電波と、長い間情報伝達の手段を拡大してきた人類は、コンピュータをもつにいたって急速に情報量と情報処理の手段を増やしました。
印刷技術のなかにも当然多くのコンピュータが入り込んでいます。
現在では、印刷のすべてをデジタル化にで処理できるようになりました。
(印刷メディア制作入門 高畑俊雄著より転載) |
|